2013年10月22日火曜日

殺し屋もつらいよ:『グラスホッパー』伊坂幸太郎

伊坂幸太郎の小説『グラスホッパー』を読みました。

妻を殺した男に復讐しようと、職を辞し、男の父親が経営する会社に契約社員として入った鈴木。ところが、自分の目の前でその男が車に轢かれる。「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業だった。
命じられるままに押し屋を追った鈴木だが、押し屋に温かい家庭があることを知り、その居場所を上司に報告できなくなってしまう。
一方、自殺専門の殺し屋・鯨は過去を清算するために、ナイフ使いの殺し屋・蝉は手柄を立てるために、押し屋を探していた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/グラスホッパー_(小説)

面白かった点

◆登場する様々な種類の「殺し屋」
 …「押し屋」や「自殺させ屋」など、登場する殺し屋の特性が斬新だと思いました。
  また、闇の世界で生きる者としての苦悩…のようなものも
  テーマとして描かれていて、ただ、カッコイイだけでない、
  リアルさを感じる描写が、物語に深みを与えていました。
  「鯨」、「蝉」といった、殺し屋たちのコードネームもそれっぽくて
  カッコイイです。

◆別々の世界で暮らす殺し屋の物語が、一つに収束していく面白さ
 …それぞれの殺し屋の物語は、初めはまるで、別々の世界での出来事の様に
  描かれているのですが、終盤になるにつれ、主人公の鈴木を中心に、
  一気にストーリーが収束してくので、圧倒されます。
  後半は先が気になり、一気に読んでしまいました。

いまいちだった点

◆主人公の存在感が薄い
 …殺し屋達があまりに個性的なので、主人公の存在感とその目的が、
  どうも弱く感じてしまいました。

ピカレスク系の話が好きな自分には、かなり楽しめる小説でした。
それぞれの殺し屋が個性的すぎて、その風貌を想像しながら楽しみました。

伊坂幸太郎の小説はこの作品が初めてだったのですが、
他の作品も読んでみたくなりました。

満足度:★★★★★ 


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